感じたままに忠実に。絵画がヘタウマ・未完成に見えたワケ。
さてさてそんなわけで、前回記事のデトロイト美術館展に行って参りました。
建物のオフホワイトに、映えるイエロー。
以前浮世絵の美人画を見に行ったときは、入口ピンクでしたね。
だからというわけじゃないんだけど、たまたまこの日は上下イエロー配分多めコーディネート。
傍から見てどうかは分からないけど、イエロー好きなもんで。
入口入ってすぐ、デトロイト美術館の壁画のレプリカが見れます。
これ見たときはなんなのか分からなかったけど…。
ディエゴ・リベラという画家の作品なんだそうな。
って彼の名前もおそらく初めて聞いた。あのフリーダ・カーロの旦那さんなんだって。
情報を繋げ始めたらキリがないんだけど…。
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後になって思ったのが、来る前にこの絵画展について、ちょっと予備知識を入れとくともっと楽しめたかな、ということ。(詳しくは売店コーナー横に映像コーナーってのがあって、それを観ても主旨はざっくりと分かるようになってんだけどね。最後に気づいて観たもので)
デトロイト市、一時はモーターシティと言われてたけど、その後自動車産業が不調になったらしく、2013年に財政破綻。
その時に デトロイト美術館も、存続の危機に陥ったらしい。
美術品があわや売り払われるかというところで、奇跡的に、各財団や自動車企業などの支援によって危機をまぬがれたそうな。
聞きかじった知識によると、美術館ってどこも、危機の時には財源にされがちらしい。
・アート < 飯の種
って思うのも分からんではないけど…なんか悲しいよね。
ほかならぬ、「飯を喰う」意義を与えてくれるのが、アートだったりするのに。
普段からどれだけその都市や市民が芸術を大事にしてるかは、こういうとき問われるのかもしれないと思った。
8月の火・水・木に該当したため、写真撮影可。
ただし作品によっては、こうやって注意書きもあります。
もう一つ、知っておくとよかったなと思うのが…印象派というのがどういう流れで出てきたかってこと。
なんか、「光を表現する手法」的なイメージよね。美術の教科書とか、色彩検定を受けたときに少しは学んだものの、詳しくは知らなくって。
だから、最初にぐるっと回っただけではポイントがつかめず、実は感想もそれほど湧いてこなかったの。
で、あとになってじわじわと「あー」って実感されてきた。
ひとつ例を挙げると、アンリ・マティスの『窓』という絵。
有名な絵なので、どこかで見て、知った気になってたんだけど…。
近づいてよーーーく見ると…えらくざっくりしてるのよね。
黒くしっかりと縁取ってるところもあれば、輪郭がテキトーでぼんやりしてるところもある。テーブルの右側の脚とかね。
テーブルや椅子なんて、ヘタウマ絵なのか?というくらいベッタリとしてフラット。
それはそれでこの絵の愛嬌にも見えるんだけど…。
果たしていったい絵画の「完成」ってどこに決定打があるんだ?と一瞬ハテナになった。
そこで、後から入った知識によると…。
印象派以降(コトバがざっくりですが悪しからず)の表現は、そもそも完成を意図してないらしい、ということ。
その瞬間に感じた光を短時間で素早く描きとるために、筆致は粗め。筆跡はあえて、残す。遠近法もあえて、あまり使われない。
描き込まないことによって、「この描いた先の世界は刻一刻とこの先も変化していくんだよ」、というメッセ―ジを伝えてるのかもしれない。解説の映像ではそのようなことが言われていた。
へええ…西洋にしては意外にも、諸行無常?的世界観なのかしら。
で、先ほどの『窓』という絵も、遠巻きに見ると、窓から入る光が表現されていたのが分かる。右側の脚に輪郭が描かれていないことで、その部分が明るい印象になってるんだわ(これ実はブログを書きながら気づいた)。
これはあくまで私が感じたことに過ぎないんだけど…。
描いた人も「感じたまま」ならば、見る人も「感じたまま」という自由が与えられるのかもしんないね。
それまでの写実主義が、「見たものに忠実に描く」ことだとしたら、現実は1つ(に限りなく近い)ってことになる。その概念をもし打ち破ろうとしたのだとしたら、それはそれは革命だろうと思う。
同じ絵でも同じ風景でも、主観が入ると、違ったものに見えてくるよね。
現代だとそれは当たり前とも思えるんだけど…いや、そうでもないか。現代人の中にも、現実は、正義は、正解は相変わらず1つだと思っている人もいまだに多々いる(笑)。そういう人が大半な中で…。
絵画、とくに風景画なんかに「感じたまま」を感情込めて荒々しく表現するなんて。当時は伝わんなくて当たり前だったのかもしんない。
ついでに言うと、その当時、そんな理由で売れなかった印象派の絵画に目をつけたのが、デトロイト美術館だったらしい。
奇跡的に、危機から救済されたと思いきや、それだけの理由があったんだ。
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そんなわけで、夕方までたっぷり観て美術館を出ると…。外にはこの空。
右側にアタマが見えるのが通天閣。
ドラマティックでしたわ。
大阪は、 ~9月25日(日)までだそうです。