年齢はやっぱり絶望じゃない、むしろ希望だ。
先日、ひさびさに映画館に行った。
(このところ、DVDばっかでした)
観に行ったのは、こちら。
『アドバンスト・スタイル』。
NYで見かけた60代以上のオシャレ上級者達が出演。
彼女たちのスナップを撮り、ブログにアップしたら
アクセスが急上昇したのが、ことの始まりだという。
ほんとうに目の覚めるようなセンス!
こんな着こなし、アリだったのね!
この組み合あわせでくるとは…。
ってなんど思ったか。
むしろ、人目を気にする若者にはマネできない。
斬新な発想。
映画の出演者には80代、90代もいて
むしろその方々がもっともイキイキしているようにすら、見えた。
人生の終盤で、むしろいろいろ吹っ切れ、
ホントの意味で執着を手離してるからこそ、
…の境地なんだろうな。
ファッションってほんと
外見だけじゃないとあらためて思います。
生き様がにじみ出る。
どの方も素敵すぎて
甲乙つけがたいところなんだけど…。
私が生き様でいちばん惹かれたのは
93歳のこの彼女。
イロナ・ロイス・スミスキンさん。
このキュートなまつ毛は
懇意にしていた職人さんがいなくなったため
自分の髪の毛を切ってつくることを思いついたんだそうな!
アートの先生もしていたり
夜は酒場で歌い手にも変身する。
「スターである自分を演じるのよ」
たしかそんなことを言ってらした気が。
長く生きているのに、
ホントに、固定概念なんてことばが微塵も感じられない。
妖精のように、かろやかで自由。
存在じたいが、変化しつづけるアートそのもの。
映画の一幕に、絵画の授業で教えているシーンがあって
それがまた、好き。
教える言葉の表現が美しすぎて
一言一句、メモして額に飾りたいほどだった。
自分が理解できるかどうかなど
おいといて、その言葉じたいに聞き惚れる。
―――
イロナだけじゃなく、
すべてのマダム達に共通している思想が
◆自分は自分、他の何者でもない。
という部分だった。
ホントに、それが徹底しているなと感じられた。
きっと「ちょっと目立ちたい」「ちょっと個性的に見られたい」
くらいじゃあ、ここまでのスタイル徹底はできない。
目立つことで嫉妬されようもんなら、
眉をひそめられようもんなら、
すぐに終わってしまう。
ニューヨークと言えど、そういう空気はあるだろうしね。
しかも昔の時代なら、なおさら。
それでも彼女たちは、自分をつらぬいた。
その蓄積が、
ここまでの華やかさになってるんだなって。
歳をとる以上に、積み重なる価値の方が楽しみになってくる。
彼女たちの一人が言っていた。
「あるスタイルを完成させるのに10年かかったこともあるの」
たしかに、あるワンピースにピッタリのネックレス、
パンプス、スカーフ、バッグ…。
これが必ずしも、一挙にそろうとは限らない。
私も一時期、
「ファッションなんてお金で買えばできるじゃない」
と思ってる絶望的にダサい時期があったけど
流行やモノに流されていては、
スタイルなんてできないってあらためて思った。
まあまあのコーディネートに妥協せずに、
ずっと探し求めているからこそ、出逢える、見つかる。
きっとファッションだけでなく、
自分らしい生き方を求めているすべての人に、言えるだろう。
マネキン人形に着せた完成コーディネートを
丸ごと一式買うだけで、果たしてそれが自分なのか?
始まりはそこでもいいけど、そこに付け足したり
そぎ落としたりしていくことで見えてくるものが自分らしさ。
それには気の遠くなるような時間がかかることもある。
たった一人で、道なき道を歩んでいる気がするかもしれない。
でもそれは、絶望じゃない。
自由と希望のはじまりなんだ。
このマダム達を見てたらそう思えてくる。
たまたま、ファッションが大好きで
ファッションでそれが見えるように表れているだけの話だ。
私が over 60 になったとき
そこにはどんなスタイルがあるだろうか?
スタイルを諦めてはいないだろうか?
その歳が素敵であることをイメージしたら
今なにができるだろうか?
そういう自問自答が始まってます。
自分の未来の可能性を開きたくなる、映画でした。
このスナップ集も欲しい!
Advanced Style--ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ
そして塗り絵もあるという(笑)。面白いな。