憂いを帯びた、でもどこか惹きつけられる美人画。=竹久夢二:夢二郷土美術館=
岡山に、旦那と1泊2日のちょい旅に行きました。
目的は、我々夫婦ともにお世話になっている友人に会うため。彼女は私からすると1まわり以上も年下なんですが、制限なく自由に話せて、ものすごく刺激になる人です。
で…空き時間に行ける岡山の美術館を調べていると、「竹久夢二郷土美術館」が目に留まり。
たまたまその彼女にも聞くと、夢二大好きってことで。一緒に行くことにしました。
行ったのは本館の方。
毎度のことだけど、竹久夢二についてはほとんど知らず。
「なんとなく、レトロモダンなオシャレな女性を書く人だなあ」という記憶にはあるのよね。言葉で言いやすい特徴のある絵じゃないんだけど、絵を見ると「あ、夢二の絵だ」と分かる。ファッション雑誌とかにも、たまに載るよね。たぶん。
そんなわけで、大正ロマンの世界にどっぷり浸かりに行きました。
この建物自体は、ほんとこじんまりしていて可愛らしいくらいのサイズ。
レンガ造りの建物の周りに少しだけ竹が植わっていて、和洋折衷な感じが素敵。
入口入ってすぐは映像コーナーや版画コーナーなどがあり、ここは撮影OK。猫のタペストリーが可愛い。
※ちなみにここの映像は、起伏が少なくてえらく眠かった…(笑)。
夢二は、絵そのものだけじゃなく、こういう本の装丁や表紙のようなデザインも手掛けていたらしく。この独特なフォントと枠などで覚えてる方もいるかも。
なんせ、買ってきた本の装丁が気に入らないからと、自分で描いて作り直したりもしてたそう。こういう意固地なエピソード、好きだわ。
そしてこちらが、木版画コーナーです。
そして、本編を見に館内の奥へ。
手帳に書かれたスケッチや日記、当時出版された本など様々な展示がありました。
代表的なのはやはり美人画。
その時代としては、大きめに描かれた目や手足、ほっそりとしなやかな体つきが特徴で、服装も同時代の女性にも人気のスタイルだったそうな。
ほんと、からだの曲線が美しい。
なんというか…表情にほんの少し憂いをおびたような、奥ゆかしい女性像なのよね。内面から放つ色っぽさがある。陰陽でいうと陰なんだけど、さりげなく魅力を放っていて、惹きつけられる。
容姿よりも、内面を直接描いているんじゃないかなって感じ。
(実際に、海外の画塾で教えていたエピソードにそんなことが書いてあった。は西洋の絵画はモノそのものを描き、東洋ではココロを描くのだ、と教えていたそうだ)
おそらくは、女性関係も華やかだったんでしょうな。と思いきや…。
この美術館は、夢二を真面目な芸術家イメージとして描いてた。私にはそう感じたなあ。
「いっとき人気を博したものの、世界恐慌が始まり不遇な時代を過ごし、それでも個展を開きつづけた」
そんなエピソードが記憶に残っているけど…。マンドリンを抱えて窓際に座るスーツ姿は、ハイカラそのもの。きっと時代の感性を掴める人だろうし、今でもモテるんじゃないでしょうか。
2014年。Facebook経由で海外から、知られていなかった油彩の原画があることが分かり、美術館に譲り受けられたそう。今回のメインテーマはこの絵の公開でした。
今だからこそ、こういうドラマティックなことが起こるんだね…!すごい。
夢二にしては珍しい外国人女性のヌード。真っ白に見えて、原画では繊細に肌の色が塗り重ねられています。光を放つような肌の色。
日本人ですら白く描いていたのに、さらに白い肌の女性を前にして苦心したんだとか。
中は部屋数でいうと3部屋くらいで。通常の美術館を見るスピードでいくとあっという間に終わってしまうくらいの規模と作品数。それだけに、じっくり味わって、何度も見返すことができます。
一緒に行った友人は、1作品につき10分以上もとどまっていて。まるでその姿は、絵と対話して、心を読み解いているかのようでした。
その証拠に、終わった後話していたら、かなり細部まで見ていたことが分かるコメントが。すごいなあ。若い人は吸収力が果てしない。
そして彼女には、アーティストの素養を感じます。
で、こっからは番外編なんだけど…。去年、後楽園に行ったときに食べたカレーが美味しかった!ってことで、また行くことに。
⇒ Restaurant & cafe 碧水園(へきすいえん) -岡山城近隣のカフェ-
窓から岡山城と周りの川が見えるロケーション。場所も好き。そして、ここにも夢二の絵のレプリカが飾られています。
食べログでも誰も推してないけど、ここの烏城カレーセット(サラダ付)が美味いんだって!なんで知られてないのか。
黒ごまがびっしり。プチプチとして食感でデトックス効果もありそうです。
中にはほうれん草もたっぷり。お腹持ちもいいです。
キーマカレーの和風版といったお味で、辛過ぎず食べやすいです。
なんせ、他であんまり見たことないってのと…。こういう観光地のど真ん中で、名物にかこつけてって感じでもない、創作的なメニューを出してるところが珍しい気がしました。
おすすめです。後楽園に行かれる方は、ぜひ。
夢二の本は、大人の塗り絵しか記憶になかったけど…。
こういうのもあるんだ。興味あり。
旅先でしか見れない美術館ってのもいいな。
ってことでまた機会があれば探してみたいと思います。